はじめに
茶道具は、私たちの心を映す鏡のような存在です。丁寧に扱い、適切にお手入れをすることで、道具は長く私たちに寄り添い、より深い味わいを増していきます。今回は、基本的な茶道具である茶碗・茶筅・茶杓のお手入れ方法について、初心者の方にもわかりやすくご説明いたします。
茶碗のお手入れ
茶碗は茶道具の中でも最も大切な道具の一つです。使用後は、まずぬるま湯で優しく洗い、抹茶を丁寧に落としていきます。この時、洗剤は使用しないようにしてください。洗い終わったら、柔らかい布で水気を優しく拭き取り、陰干しで自然乾燥させます。
茶碗の基本的な洗い方は以下の通りです:
- お茶席で使用した後は、柔らかい古布(古帛紗など)で茶碗の内側を丁寧に拭います
- その後、ぬるま湯だけで優しく洗います
- 洗剤は決して使用しません。洗剤を使うと茶碗に残り、お茶の味を損なう可能性があります
- もし茶渋が気になる場合は、お茶室や茶道具専門店に相談することをお勧めします
保管する際は、完全に乾燥させてから布袋に入れることが大切です。茶碗を重ねて置くことは避け、それぞれ個別に保管しましょう。また、湿気の少ない場所を選んで保管することで、カビの発生を防ぐことができます。月に一度は茶渋の付着を確認し、気になる場合は柔らかいスポンジで優しく取り除きます。
茶筅のお手入れ
茶筅は抹茶を点てる際になくてはならない道具です。使用後は、ぬるま湯で抹茶を丁寧に洗い落とします。その後、指で優しく穂先をほぐし、専用の茶筅直しを使って形を整えます。乾燥させる際は、陰干しにして自然乾燥させることが重要です。
保管は、必ず茶筅立てを使用し、穂先を下向きにして置きます。直射日光は避け、風通しの良い場所で保管しましょう。湿気の多い場所での保管は、カビの原因となるため避けてください。使用前には湯かんで穂先を柔らかくしておくと、より美しい泡立ちが期待できます。2〜3ヶ月に一度は穂先の状態を確認し、開ききってしまった場合は新しいものに交換することをお勧めします。
茶杓のお手入れ
竹製の茶杓は、水との相性があまり良くありません。そのため、使用後は乾いた布で優しく拭き取ることを基本とします。どうしても必要な場合のみ、軽く湿らせた布で拭いてください。
保管は専用の袋や箱に入れ、湿気を避けて風通しの良い場所に置きます。直射日光も避けるようにしましょう。年に1〜2回ほど油煙を施すことで、竹の劣化を防ぎ、艶のある美しい茶杓を保つことができます。ひびや割れが気になる場合は、早めにお茶室や茶道具店にご相談ください。
お手入れの心得
茶道具のお手入れで最も大切なのは、急がず丁寧に行うことです。力を入れすぎると道具を傷めてしまう可能性があるため、優しく扱うことを心がけましょう。週に一度は全体的な状態を確認し、異常を感じたら早めに対処することが大切です。また、適切な環境での保管と、専用の収納具の使用も、道具を長持ちさせるポイントとなります。
おわりに
茶道具は、丁寧なお手入れを続けることで、より深い味わいを増していきます。初めは少し手間に感じるかもしれませんが、これらのお手入れを日々の習慣として取り入れることで、道具との良い関係を築くことができます。お手入れに不安を感じた際は、遠慮なくお稽古の先生や茶道具店にご相談ください。末永く大切に使える茶道具となるよう、日々のお手入れを心がけましょう。