「抹茶と緑茶って、同じ茶葉なんですよね?どう違うんですか?」

茶道体験の中で、よくいただくご質問です。実は、抹茶も緑茶も紅茶も、すべて同じ植物(チャノキ)から作られています。では何が違うのか——それは「育て方」と「加工方法」、そして発酵(酸化)のさせ方です。

この記事では、抹茶と緑茶の違いを、栽培・製法・味わいの3つの視点から詳しく解説します。

📋 目次

抹茶も緑茶も同じ植物から生まれる

抹茶・緑茶・紅茶・烏龍茶は、すべてチャノキ(学名:Camellia sinensis)という同じ植物から作られます。

「味も色も全然違うのに同じ植物?」と驚かれる方も多いのですが、違いを生むのは植物そのものではなく、以下の3つです。

  • 栽培方法(日光を遮るか・遮らないか)
  • 加工方法(蒸す・揉む・挽くなど)
  • 発酵(酸化)の度合い(させない・途中まで・完全に)

つまり、同じ茶葉でも「どう育てて、どう加工するか」で、まったく別のお茶に変わるのです。

抹茶と緑茶の違い【比較表】

まずは全体像を把握しましょう。以下は抹茶と一般的な緑茶(煎茶)の違いを比較した表です。

項目 抹茶 緑茶(煎茶)
栽培方法 遮光栽培(日光を遮る) 露地栽培(日光を当てる)
原料 碾茶(てんちゃ) 煎茶用の茶葉
形状 粉末(石臼で挽く) 茶葉(揉んで乾燥)
飲み方 お湯に溶かして飲む お湯で抽出して飲む
味わい まろやかな旨味・濃厚 さっぱり・爽やか
鮮やかな緑色 淡い黄緑〜深緑
栄養 茶葉を丸ごと摂取 水溶性の成分のみ

それぞれの違いを、もう少し詳しく見ていきましょう。

違い①:育て方(遮光栽培の有無)

抹茶は「日光を遮って」育てる

抹茶の原料となる茶葉(碾茶)は、収穫前の約3〜4週間、覆いをかけて日光を遮って育てます。これを「遮光栽培」または「被覆栽培」と呼びます。

日光を遮ることで、茶葉にこんな変化が起こります。

  • 渋みのもと(カテキン)の生成が抑えられる
  • 旨味成分(テアニンなどのアミノ酸)が増える
  • 葉緑素が増えて、鮮やかな緑色になる

この「遮光」のひと手間が、抹茶特有のまろやかな旨味と美しい色を生み出します。

緑茶(煎茶)は「日光をたっぷり浴びて」育てる

一般的な緑茶(煎茶)は、日光を遮らず、露地の茶畑で育てます。日光をしっかり浴びることで、渋み成分(カテキン)が増え、さっぱりした爽やかな味わいになります。

ただし、玉露やかぶせ茶など一部の高級緑茶は、抹茶と同じく遮光栽培を行います。

違い②:加工方法(粉末 vs 茶葉)

抹茶ができるまで

  • 摘み取った茶葉をすぐに蒸す(酸化を止める)
  • 揉まずに乾燥させる → 碾茶(てんちゃ)
  • 石臼でゆっくり挽いて粉末にする → 抹茶

抹茶は「茶葉を粉末にしたもの」なので、茶葉を丸ごと飲むことになります。

緑茶(煎茶)ができるまで

  • 摘み取った茶葉をすぐに蒸す(酸化を止める)
  • 茶葉を揉みながら乾燥させる → 煎茶
  • お湯で成分を抽出して飲む

緑茶は「茶葉からエキスを抽出する」飲み方です。茶葉そのものは飲みません。

違い③:味わいと栄養

抹茶:まろやかな旨味・濃厚

遮光栽培によって旨味成分(アミノ酸)が豊富になり、渋みが抑えられているため、まろやかで濃厚な味わいが特徴です。

また、茶葉を丸ごと摂取するため、食物繊維やビタミンEなど水に溶けにくい栄養素も摂取できます

緑茶(煎茶):さっぱり・爽やか

日光をしっかり浴びて育つため、カテキンが多く、さっぱりとした爽やかな味わいです。渋みと甘みのバランスが良く、普段使いにぴったりです。

抽出して飲むため、水溶性のビタミンC・カテキン・カフェインなどは摂取できますが、不溶性の栄養素は茶葉に残ります。

他のお茶との違い(紅茶・烏龍茶)

抹茶と緑茶以外のお茶も、すべて同じチャノキから作られます。違いは「発酵(酸化)の度合い」です。

お茶の種類 発酵度 特徴
緑茶・抹茶 不発酵(酸化させない) さっぱり爽やか・旨味
烏龍茶 半発酵(途中まで酸化) 緑茶と紅茶の中間
紅茶 完全発酵(しっかり酸化) 甘く華やかな香り

ここでいう「発酵」は、微生物による発酵ではなく、茶葉の酵素による酸化反応を指します。

まとめ

抹茶と緑茶は、同じチャノキから作られますが、育て方と加工方法によってまったく異なるお茶になります。

  • 抹茶:遮光栽培で育て、石臼で挽いて粉末にする
  • 緑茶:日光を浴びて育て、茶葉を揉んで抽出して飲む

同じ植物から生まれたお茶でも、育て方と酸化のコントロールで、ここまで表情が変わります。抹茶は茶葉そのものの繊細な味わいを丸ごと楽しめるお茶です。

少し背景を知るだけで、一服の抹茶が、ぐっと豊かな時間に変わります。


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